第二章:殺意の蹂躙

 レイニーの今後を心配しているのだろう。


 ブレイクしてまさにこれからというタイミングでこんな悲惨な出来事が起きてしまったのだから、頭を抱えるのも無理はない。


 マスコミの報道の仕方次第でレイニーに対する世間の印象は悪いものに変わってしまうことだって大いに考えられる。


 エレベーターが止まり、扉が開く。


(どうにも嫌な予感がするな)


 胸の中をもぞもぞと何かが這い回るような掴みようのない不快感を味わいながら、通路へと出る。





 マジシャンとそのマネージャーの死。


 これらの原因が、最悪な事実として告げられることになるのは数時間後のことになる。


 そして、この二つの死がさらなる惨劇へ向かう通過点に過ぎなかったことに、絵夢はまだ気づくことなどできなかった。

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