第二章:殺意の蹂躙

「雨池さん、一旦戻りましょう。このままここにいても、これから来る警察の邪魔になるでしょうし」


 そっと肩を叩かれ、絵夢は思考を中断した。


「レイニーのメンバーにも現状を説明しないとな……」


 苦渋の表情を浮かべながら腕を組み、七見は小さくため息をつく。


(そういえば、嶺垣くんはどうしてるだろう)


 会場に置いてきぼりにしてきた助手のことを思い出す。


 霧洲の部下だという警官が対応しているのなら、どこか会場の外あたりに立たされているのかもしれない。


 レイニーの控え室へ歩きだす七見の後を追いながら、携帯を取り出しメールを打つ。


 返事はすぐに返ってきた。


〈今、会場の入り口辺りにいます。影宮さんと一緒です。絵夢さんはどこにいるんですか?〉

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