第二章:殺意の蹂躙

「亡くなってるんですか?」


 脈をとる霧洲へ問うと、こちらを見ないまま頷いてきた。


「原因はまだ分からないですが、死んでいることは間違いないですね」


 言いながら、室内を確認するかのように一瞥する。


「突発的な発作か、何らかの事件か……。ステージで起きた事故も含めて、しばらくは現場検証のため関係者の皆さんにはむやみに歩き回らないようにしていただきたいのですが、よろしいですか?」


「ええ、仕方がありませんからね」


 ため息混じりに応じて、七見は一番近くにいたスタッフに何やら指示をとばした。


「あの、さすがに僕たちが中に入ったらまずいですよね?」


 駄目元で、絵夢は訊ねてみる。


「そうですね。なるべくなら入らないでいただいた方が助かります」

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