第二章:殺意の蹂躙

 羽舞の身体は怯えたように震えており、今にも泣き出しそうな顔で七見を見上げている。


「優衣ちゃん、落ち着いて話すんだ。いったい何があった? 的場さんがどうしたの?」


 天寺にしたのと同じように、七見は羽舞の両肩に手を添えて優しく話しかける。


「的場さんが……、死んでるんです」


「え?」


 想定外の言葉に、七見の動きが止まる。


 霧洲も、目を細めて羽舞の話に耳を傾けていた。


「呼びに行った深玖が気づいて、あたしがスタッフの人と一緒に部屋へ確認に向かったら本当に……」


 そこで羽舞の顔がぐにゃりと歪み、両目から涙がこぼれる。


「的場さん、呼んでも……全然、反応が……なくて……」


 その時の状況を思い出したのだろう。


 羽舞の言葉は嗚咽に変わり、もはや話を続けられる状態ではなかった。

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