第二章:殺意の蹂躙

「その辺のことに関してはこちらで指示をだしてありますから、今はとにかく部屋で一時的に待機を――」


「七見さん!」


 霧洲の声を遮るようにして、控え室へ戻ったはずの羽舞がステージへ駆け込んできた。


「優衣ちゃん?」


 遺体を見せないようにと、七見が慌てたように羽舞の前へ立ち塞がる。


「どうしたんだ? 控え室に戻ってないと駄目じゃないか」


 たしなめるような口調の言葉を無視し、羽舞は狼狽えた様子で七見へ詰め寄るとそのまま彼の服にしがみついた。


「七見さん、大変なんです! 的場さんが……!」


 羽舞の声は震えている。


 そっと、絵夢は羽舞の側へ近づいてその様子を確認する。


 異常な事態を察知したのであろう七見が、強張った視線を絵夢に向けた。

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