第二章:殺意の蹂躙

「すぐに駆けつけたわけではないので断言はできませんが、少なくとも自分が来てからは誰も触れてはいません」


「それなら結構。あなた方もステージから出ていてください。事故だとは思いますが、一応現場を調べなければいけませんから」


 霧洲は、血溜まりを避けて遺体へ近づいていく。


「あ、刑事さん。そこに落ちている鍵、踏まないように気をつけた方が良いですよ」


 遺体に気を取られている様子だったので、念のため声をかけておく。


「鍵? ああ、これか。……何の鍵だこれは」


 絵夢が指さす先を見て、霧洲が片膝をついてしゃがみ込む。


 さすがに手袋は持参していなかったのか、ハンカチを取り出してその小さな鍵をつまみ上げた。


「ひょっとしたらですけど、その、光野さんを拘束している手錠の鍵ではないですか?」

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