第二章:殺意の蹂躙

 現状は、それが一番可能性として高いだろう。


 具体的に何が原因でこのような結果に繋がったのか、それは分かりようがない。


「どうも、ちょっと失礼します」


 ふいに舞台袖の幕が揺れたかと思うと、見知らぬ男がステージに歩み出てきた。


 三十代半ばくらいだろうか。


 ジーパンに黒いTシャツ姿で、がっしりとした体格が体育会系というイメージを与えてくる。


「貴方は?」


 側にいた七見が、男に訊ねる。


「府中署の霧洲といいます。たまたま部下とライヴに来ていたもので」


 常に持ち歩いているのだろう警察手帳を掲げて、その男霧洲きりしまたけるは答えた。

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