第二章:殺意の蹂躙

        【3】


 スタッフの判断によって、すぐにステージの幕が降ろされた。


 誰かが観客を会場の外へ誘導するよう叫んでいるのが聞こえてくる。


「どうしました? 何かアクシデントでも起きたんですか?」


 舞台袖から落ち着いた男の声が聞こえた。


 ちらりとそちらを見ると、七見が不審な表情でステージへ上がってきたところだった。


「七見さん……」


「雨池さん? この騒ぎはいったい何です? だいたい、どうしてあなたがステージに――」


 立ち尽くす絵夢に気づいた七見だったが、そのすぐ後ろに見えた惨劇に言葉を失う。


「光野……さん? これは、いったい何が起きたんですか?」


「よくはわかりませんけど……、たぶんマジックを失敗したんだと思います。あそこから落下してそのまま……」

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