第二章:殺意の蹂躙
「光野さんのマジックショーはどれくらいやるの?」
早くも次のマジックの準備を始めるステージを見たまま、嶺垣に訊ねる。
「えっと……たぶん、一時間くらいはやるんじゃないですかね。さすがに三十分程度じゃ短過ぎるでしょうし」
腕時計を確認しながら答えてくる嶺垣に、絵夢は小さく頷いた。
「僕的には二時間くらいやってくれても良いんだけどね」
現在時刻は、十二時五十分。
最低でも、あと四十分は楽しめる。
このショーが終わったら、本当に光野の元へねぎらいの言葉でもかけに行こうか。
それくらいのことをしても良いくらい、楽しいマジックだ。
マジックの小道具だと思われる小さな果物ナイフを胸ポケットから取り出した光野を見つめつつ、絵夢は頭の隅でそんなことを考えてみた。
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