第二章:殺意の蹂躙

 そして、踊るような足取りで台の前へと進むとその鋭利な刃を紙袋へ垂直に叩きつけた。


 この場合叩きつけるという表現はおかしいのかもしれないが、少なくとも絵夢には切りつけるよりも叩きつける方がしっくりくるように見えた。


 ダンッという音が、絵夢のいる場所まで聞こえてきた。


 紙袋をちょうど真ん中から綺麗に二等分したその刀は、刀身を台に食い込ませて静止する。


 中に入ったアシスタントはどうなってしまったのか。


 会場が静まりかえる中、かさりと小さな音をたて裂かれた紙袋が左右に落ちる。


「……」


 台の上には、誰もいなかった。


 たった今絵夢の目の前で紙袋に入ったはずのアシスタントは完全にその場からいなくなっており、真っ二つになった紙袋が残されているだけ。

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