第二章:殺意の蹂躙

 そういったことをあれこれ推理し合理的な回答を用意しても、手品師はその答え合わせに付き合ってはくれないのだ。


「絵夢さん、今のマジックどんなカラクリか見破れましたか?」


 ぱちぱちと小さく拍手をしながら、嶺垣が無邪気な表情で訊ねてきた。


「さぁ。いくつかの方法は考えてみたけど、正直それが正解してるかどうかはちょっと自信ないかな」


 そう答えると、嶺垣が面白がるように口元を緩ませる。


「さすがの探偵も有名マジシャンの前にはお手上げってことですね」


「別にお手上げとは言ってないよ。だいたい、僕がいろいろ予想しても確かめる術がないじゃないか」


 嶺垣の言い方に不快感を覚えて、とは言わないがつい反論してしまう。

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