第二章:殺意の蹂躙

 物質貫通と物質消失マジックといったところか。


 騒音に近い拍手の音を聞きながら、絵夢は今見たマジックを思い返してみる。


 松明はどのようにして風船の中へ入ったのか。なぜ中に入った松明は空中に、ちょうど風船内の真ん中に浮かんでいたのか。


 そして、どのようにしてそれらを消し去ったのか。


(うーん……)


 頭の中にいくつかの可能性が浮かび上がるが、どれも確信がもてない。


 いろいろと試行錯誤した挙句、最終的に絵夢が辿り着いた結論は、


(まぁ、結果的にネタばらしがない以上はいくら考えても無駄だよなぁ)


 というものだった。


 いくら不可思議に見えるマジックも、実際に使用している道具やステージを調べてしまえば案外あっさりと答えが分かってしまうことがある。

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