第二章:殺意の蹂躙

 それと入れ替わるように、ステージから派手な音楽が流れだす。


 会場の照明が落とされ、変わりにステージ上が青いライトで照らされた。


 同時に、光野のアシスタントだろう若い男が数人ステージへ踊り出てくると、そのうちの一人がおもむろに巨大な風船を膨らませ、それをステージの中央へセットした。


 照明と同じ青色をした風船で大人と同じくらいの高さがあり、隣に立つ光野程度の体格ならば余裕で中へ入ることができそうなくらいの大きさだ。


 別の男が、火の点いた松明を光野へ手渡した。


 その松明を頭上に掲げ、光野が客席を妖艶な笑みでぐるりと見渡す。


 最前列に座る絵夢に気づいていたのだろう。


 最後に光野は絵夢と嶺垣を交互に見つめて、おどけるようにウインクをした。

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