第二章:殺意の蹂躙
何気なく客席側を振り返る。
(あ……)
ほとんどの客が席に座る中、自分の座る場所を探してきょろきょろしている影宮を発見した。
会場に入るなり、手洗いに行くと言って絵夢たちと別れていたのだが、どうやら彼女の席は最前列からは離れているようだ。
しばらく様子を見ていると、やがて自分の席を見つけて腰をおろした。
絵夢のいる場所から六列後ろの左端にある席だった。
会場から一斉に拍手があがる。
絵夢が顔を前に戻すと、ちょうど光野が笑顔でステージへ現れたところだった。
“さぁ、それでは摩訶不思議なマジックショーを存分にお楽しみ下さい!”
最後に女性の進行役が告げて、そのまま男と共に舞台袖へと引き上げていく。
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