第一章:殺意の萌芽

「とりあえず正面に回れば良いんだよね?」


「ええ、チケットを渡して入場したら指定席に座るだけです」


 嶺垣の返答に頷いて、正面入り口へと歩きだす。


 この暑い季節に大勢の人が密集する場所で今から長時間を過ごすことを考え、ため息をつく。


(せめて、一秒でも早く終わることを祈っておこう)


 誰にも聞かれぬようこっそりと胸中で呟いて、絵夢は帽子を深く被り直した。

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