第一章:殺意の萌芽
最後に出た影宮が、レイニーメンバーたちへ手を振りながら扉を閉めるのを見届け階段へ向かい歩きだす。
「いよいよですね」
「うん、僕はもう既に疲れてるけどね」
少し遅れてついてくる嶺垣へ首だけで振り向き絵夢が答えると、呆れたような声が返ってきた。
「普段から動いてないから、そうやって体力無くすんですよ。ライヴ中に倒れたりするのだけはやめてくださいよ?」
「まぁ、頑張ってみるよ」
こちらの会話を聞いて、遠慮がちに笑う影宮。
「影宮さん、笑い事じゃないんですよ。この人、ほんっとうに体力とか無いんですから。百メートルも走ったら余裕で吐くと思いますよ」
「失礼だなぁ。さすがにそれくらいでは吐かないよ」
他愛のない話をしつつ、一旦裏口から外へ出る。
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