第一章:殺意の萌芽

「あ、それじゃあわたしも」


 こちらのやり取りを見ていた影宮が立ち上がった。


「絵夢さん、あたしたちの出番を楽しみに待っててくださいね」


「ええ、もちろん」


 笑顔で見上げてくる日向に頷きながら、絵夢はあらためてレイニーメンバーの顔を見渡す。


「えっと、お忙しいところをいろいろとありがとうございました。ライヴ、頑張ってください」


「ちゃんと最後まで見ててよ? 最高のステージにしてあげるからさ」


 簡単な謝辞を述べる絵夢に、天寺が勝ち気な笑みでそう返した。


「それじゃあ、また会場で」


「うん、優衣も頑張ってね」


 影宮も羽舞と挨拶を済ませ、絵夢たちの側に寄ってくる。


 それを待ってから絵夢は入り口の扉を開けて通路へと出た。

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