第一章:殺意の萌芽

 窓を閉めて振り返る天寺に、神川が話しかける。


「ひょっとしたら、誰かが捨てたり逃がしたりしたのがたまたまここの公園に行き着いてただけなんじゃないの? そういうのが、ここ数年の間に密かに繁殖してたみたいなさ」


 ま、わたしには興味ないからどうでもいいけど。


 そう最後に付け加えて肩を竦めると、天寺は残っていたジュースを一気に飲み干し、紙コップを握り潰してごみ箱へと捨てた。


 それから、五分ほど過ぎただろうか。


 絵夢が再び日向ととりとめのない会話をしていると、おもむろに入り口の扉がノックされた。


「ほら、みんなちゃんと準備できてるのか?」


 扉を開けて顔を覗かせた七見が室内を見回す。


 そして、絵夢と嶺垣を認識すると同時にほんの僅かに目を細めた。

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