第一章:殺意の萌芽
「わざわざ取ってきてくれたの?」
「別に。たまたま見つけたから、ゲットしてきただけ」
わたし、UFOキャッチャーは結構得意なんだよ。
そう付け加えると、天寺は羽舞の横を通り過ぎテーブルに置かれていたオレンジジュースを紙コップに注いだ。
「天寺さん、実はゲーマーなんですよぉ」
そっと絵夢の耳に顔を近づけて、日向は囁くように呟いた。
「へぇ、そうなんですか?」
少し素っ気ない返事になってしまったかなと思ったが、他人の趣味に目を輝かせるほど興味もないため他の言葉が思い浮かばない。
しかし日向は、そんな絵夢の胸中には気付くことなく話を続けてきた。
「ゲームならほとんど得意みたいですからねぇ。いつだったか、男の人達に混じって格闘ゲームまでしてましたから」
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