第一章:殺意の萌芽

「打ち合わせ? ずいぶんとぎりぎりまでやってるわね」


 日向を一瞥しながらどこか呆れたようにそう告げて、天寺は持っていた携帯をバッグの中へしまった。


 それからさらにバッグをあさると、小さなパンダのぬいぐるみを取り出す。


 ファンからプレゼントされた物だろうかと思いつつ絵夢が見ていると、ぬいぐるみを持ったまま羽舞の元へと歩いていった。


「優衣、これ前にゲーセンで見かけて欲しがってたよね?」


「あ、うん。でも、どうしたのこれ?」


 差し出されたぬいぐるみを受け取って、羽舞は天寺を見上げる。


「昨日、ゲットしたんだ。前に優衣が欲しい欲しい言ってたの思い出したからあげようかなと思って」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る