第一章:殺意の萌芽

「あ、それならわたしも。優衣にちょっと用があるので」


 嶺垣の言葉に賛同する影宮を見て、草本は笑顔で頷いた。


「オーケー。 美夕ちゃん、他のみんなは控え室にいるの?」


「たぶんね。みんな好き勝手にうろうろしてるから絶対とは言わないけど」


 誰かにメールをしているのか、携帯をいじりながら天寺は答える。


「わかった、ありがとう。それじゃ行こうか」


 草本に促され、絵夢たち三人は裏口の扉をくぐる。


 本番直前ということもあってか、スタッフたちの様子もかなり険しい表情になっていた。


 あちこちから怒声のような声で指示をだしているのが聞こえてくる。


「うわぁ……、なんか物々しい雰囲気ですね。誰かに話しかけるだけで叱られそう」

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