第一章:殺意の萌芽

「ええ、任せてください」


 的場は光野のステージを見ないつもりらしい。


 二人は今の関係を数年は続けているのだろうし、こういった場面ではお互いを信頼しあっている部分もあるのかもしれない。


「それじゃあ、また後ほど。ステージでお会いしましょうね」


 絵夢たちへ軽く会釈をして、光野と的場は裏口の扉を開けて中へと入っていく。


「絵夢さんたちも、そろそろ会場へ行きますか? 席は決まってるから場所が無くなることはないでしょうけど、少し早めに行っといた方が良いですよ」


 草本に言われ、絵夢が嶺垣へ視線を送る。


「どうする、嶺垣くん。このまま会場に行くの?」


「そうですね。でもその前に、一応レイニーの皆さんに挨拶だけしておきたいんですけど……」

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