第一章:殺意の萌芽

「ええ、ライヴが始まる前に済ませておこうという話になりまして。天寺さんは、ここで何を? 本番三十分前なのに集まっていなくて大丈夫なんですか?」


「平気だよ。だって、わたしらの出番はまだ先だし。てか、急いだ方が良いのは光野さんでしょ? ちゃんと盛り上げといてもらわないと困りますからね」


 絵夢の背後に立つ光野へ、握り拳を作ってみせる天寺。


「もちろん、そのつもりだから安心してちょうだい」


 にこりと微笑みながら頷くと、光野は横に立つ的場へ首を向けた。


「それじゃあ、私は簡単にメイクを直したらそのまま舞台へ向かいます」


「ああ。悪いけど、こっちは来週のスケジュール調整で今日中に相手先と打ち合わせを済ませないといけないから、そっちには行かないからな。いつも通りに上手くやってくれ」

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