第一章:殺意の萌芽

 話の流れから、草本が会計を全額負担するつもりでいる可能性は高い。


(せめて、値段の高いメニューは頼まないようにしておこう)


 初対面の相手に食事代を期待するというのはセコい考えなのだろうが、相手が奢ると言うのであれば悪いことは何一つない。素直に甘えておけば良いのだ。


 特に生活水準の低い立場ならば、こういった機会は逃してはならない。


「じゃあ、意見も一致したことだし行きましょうか。俺、この近くに良い店知ってるからさ。そこそこ安くて美味いんだよ」


 そう言いながら、草本は近くにいたスタッフに外へ出ることを伝える。


「この格好じゃあ、私目立つかしらね?」


 自分の衣装を見て呟く光野。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る