第一章:殺意の萌芽

 光野へと振り返ると、嶺垣はまさに名案を思いついたと言いたげな表情を浮かべそう口にした。


「え?」


 一方、突然話をふられた光野は驚いたように目を大きくし嶺垣を見つめ返す。


 彼女の背後で手帳に何やら書き込みをしていた的場の手が一瞬ピタリと止まり、ちらりと視線を嶺垣へ向けた。


「……?」


 だが、そんな的場の僅かな反応に気付いた絵夢が訝し気に眉をしかめると、すぐに視線を手元へ戻してしまった。


「いやー、だって有名マジシャンが使う手品道具とかって、やっぱりどんな物なのか気になったりしちゃうじゃないですか! ほら、昔やってましたよね? 箱の中に人を入れて、ナイフを沢山飛ばすマジック。あんな狭い箱に次々ナイフを刺してどうして怪我しないのか、あたしずっと不思議に思ってたんですよ」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る