第一章:殺意の萌芽

「嶺垣くんに任せるから、自由に決めて良いよ。ただ、あまり周囲に迷惑かけないように」


「自由にですか……、スタッフさんの仕事も興味あるけど、邪魔になったら申し訳ないですよね」


 顎に手を当てて、滅多に見られないくらいの真剣な表情で思案する嶺垣。


 普段からこれくらい真面目な姿勢で生きていたら、ひょっとすると彼氏の一人や二人は簡単にできたのではないだろうか。


 しかし、もし彼氏が二人できたら浮気になってしまうわけで、浮気をする嶺垣 紗耶香というのはなかなか想像が難しい。


「あ、そうだ!」


 絵夢がぼんやりとくだらないことを考えていると、嶺垣が突然手を叩いた。


「光野さん、せっかくだし、もしよかったら手品の道具を見せてもらえませんか?」

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