第一章:殺意の萌芽

「それじゃあ、わたしたちは一旦失礼します。香菜、また後でね」


「うん、頑張ってね」


 羽舞の言葉に軽く手を振って答える影宮。


 レイニーの四人が何やら話をしながら部屋を出ていくのを見送り、絵夢はまたチョコレートに手を伸ばした。


「で、お二人さんはこれからどうするの? 開演まではまだまだ時間あるし、俺でよければいろいろ案内するけど」


 部屋の入り口から視線を絵夢たちへと戻すと、草本は両手をポケットに突っ込みながらそう訊ねてきた。


「うーん、どうしましょうか?」


 困ったように絵夢を見つめてくる嶺垣。


 自分で舞台裏見学を希望しておきながら、こういうことを言い出すのは一体どういう思考回路なのか。

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