第一章:殺意の萌芽

「それじゃあわたしたちはそろそろステージに行こっか。少しでも練習しておかないと」


 時計を一瞥した神川が、メンバーを見回しながら張り切った声をだした。


「そうね。わたし、ちょっと振り付けで自信ない部分あるから、真面目に確認しとかないと不安だわ」


「あんたは間違ったってその可愛さだけで許されるわよ」


 目を伏せる羽舞へ、天寺が歯を見せて笑いかける。


「それじゃあ、絵夢さんたちは好きに見学してて下さいね。草本さん、いろいろ詳しいからガイド役にしてもぴったりですよぉ」


 ふざけた様子で告げてくる日向へ、草本は呆れたように口を尖らせながら短くなった煙草を揉み消した。


「俺は観光業者じゃないっての」

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