第一章:殺意の萌芽

「えぇ? そんな、わたしには無理ですよ。人前で歌うの苦手ですし、優衣みたいに可愛くないし」


 多分冗談なのだろう草本の言葉に、顔を赤くしながら答える影宮。


「香菜さんそれ謙遜? 歌は聞いたことないけど、少なくとも見た目は十分可愛いじゃない。前に七見さんも言ってたよ、性格も上品だしアイドルに向いてるんじゃないかって」


「そんな、わたし全然そういうの考えたこともないのに……」


 天寺にまで言われ、影宮は困ったような視線を羽舞へと向ける。


「美夕、あんまり香菜のことからかわないであげて。草本さんも、本気で香菜困ってますよ」


 怒るというよりも優しくたしなめるような口調で、羽舞が言う。

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