第一章:殺意の萌芽

「日向ちゃん遅いですね。やっぱりこんなとこまで来たらまずかったかなぁ……」


 すぐ近くに置かれたパイプ椅子へ座って、嶺垣が少しだけ不安そうな声をあげた。


 ほんのさっきまであれほどはしゃいでいたというのに、今更怖じ気づいてきたらしい。


「まずいかまずくないかで言えば、間違いなくまずいだろうね。少なからず迷惑はかけてしまってるんだし」


「でも、せっかくこういう場所が見れるのに、断るのももったいないじゃないですか」


 どこか拗ねるような目で絵夢を見上げ、嶺垣が呟く。


「僕は別に興味ないから、もったいないとは思わないよ。それより、そこに出してあるお菓子って食べて良いのかな?」

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