第一章:殺意の萌芽

        【3】


 八月二日。午前十時二十分。


 その建物は、ちょっとしたコンサートホールのようなものだった。


 三階建てで、そこそこ大きい。


 自然公園のすぐ隣に建てられているというだけあり、建物の裏側にある窓から外を見るとすぐ目の前に草木が生えているような状態だった。


 嶺垣の話によれば、ここは講演会や劇団などのイベントにもよく利用されている場所であるらしい。


 日向の案内で裏口から中へ入った絵夢は、窓の外へ向けていた顔を室内へと戻す。


 控え室みたいなものなのだろうか。さっきから多くのスタッフが忙しそうに出入りを繰り返している。


 少しだけここで待つようにと言われて、約二十分。

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