第一章:殺意の萌芽

 細めていた目を丸くして言うと、天寺と呼ばれたその人物は絵夢たち二人を観察するように見つめた。


「どうも、天寺あまでら美夕みゆです。今日は来てくれてありがとね」


 レイニーメンバーの一人、天寺 美夕。


 なかなかボーイッシュな雰囲気の女性だなと、絵夢は思った。


 ショートカットの髪を軽くかき上げながら、天寺は親指で自分の後ろ、ライヴ会場がある方角を指し示した。


「わたしたち、これからすぐにやらなきゃいけないことがあるんだ。悪いけど、この子回収させてもらうよ?」


 日向の頭に手を乗せて天寺が言うと、


「あ、じゃあ一緒に行って良いですか? 優衣に挨拶もしたいし」


 隣に立っていた影宮が口を開いた。

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