第一章:殺意の萌芽

「うん、別に良いと思うよ。香菜さんだったら、七見さんも文句言わないだろうし」


 小さく頷いて答える天寺。


「ひょっとして、影宮さん舞台裏に入れちゃうんですか?」


 二人のやりとりを聞いた嶺垣が、影宮の顔を覗き込むようにして近づいた。


「え? ええ、まぁ……。みんなとは顔馴染みだから、特別に入れてもらったりしてるの」


「いいなぁ、ライヴの舞台裏ってどんな感じなんですか? やっぱり警備とか厳重ですよね?」


「まぁ、そうですね。でも、スタッフの方はみんな忙しそうにばたばたしてるので、邪魔にならないかっていつも気を遣ってますよ」


 嬉々とした表情で顔を近づける嶺垣に影宮は苦笑する。

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