第一章:殺意の萌芽

「見せ物? 草本さんのライヴのこと?」


「違いますよぉ、今日はですね、ライヴの前にマジックショーをやることになってるんです。告知してたはずなんだけど、知らなかったんですか?」


「ええ……、優衣からライヴをやるって話を聞いて、チケットを渡されてただけだったからなんにも。ただ、ソロで活動してる草本 勝希さんがゲストに来るのは後から教えてもらってたんだけど」


 僅かに眉根を寄せる影宮。


「マジシャンの光野って人、確か四、五年前まではテレビにも出演したりかなりの有名人でしたよね? 最近あまり見かけなくなったからどうしたのかと思ってました」


 当時のことを思い出そうとするような、上目遣いの仕種で嶺垣は言った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る