第一章:殺意の萌芽

「わたし、花屋でバイトをしているんです。だから、店長にお願いして安く譲ってもらったりしてるんですよ。これ、みんなにはずっと内緒にしてたんですけど」


 優衣たちには言わないでね、と冗談半分に日向へ告げながら、影宮は公園の入り口に設置されていた時計を見上げた。


「日向ちゃん、時間大丈夫なの? これからライヴの最終リハーサルとか、打ち合わせなんかもあるんじゃない?」


「うーん、たぶんまだ大丈夫だと思いますけど……」


 同じく時計を見上げ、日向は答える。


「あたしたちのライヴが始まる前に、もう一つ見せ物があるんです。今はそっちの最終確認をしてるはずですから、まだ時間には余裕があります」

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