第一章:殺意の萌芽
「バスに乗っているときから気になっていたんですけど、その薔薇は?」
「ああ、これですか。レイニーのみんなにプレゼントしようと思って持ってきたんです」
自分の抱える薔薇を一瞥して、影宮は微笑む。
「影宮さんは、ライヴがあると毎回いろんなお花を持ってきてくれるんですよぉ! 先月都内でやったライヴでは、綺麗な百合の花を貰いました」
「へぇ、それは凄いなぁ。その薔薇、安くはないですよね。高価なプレゼントを贈るくらいに、レイニーの人たちを応援しているわけですね」
日向の言葉に感心しながら絵夢は言った。
すると、影宮は少し照れたような表情で首を横に振る。
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