第一章:殺意の萌芽

影宮かげみや香菜かなと言います。日向ちゃんたちとは違って、大学に通ってるごく普通の一般人です」


 最後は少しおどけたような口調で、影宮は簡単に自己紹介をした。


 大学生、ということは嶺垣と同じくらいの年齢だろう。


 全体的に落ち着いたイメージをうける影宮と、自分の助手を見比べる。


「……」


 影宮のような落ち着きを少しくらいは見習ってもらえれば良いと思うが、それはなかなかに難しいことかもしれないなとすぐに結論が浮かんだ。


「なんで残念そうな目であたしを見つめるんですか?」


「いや、別に。なんでもないよ」


 首を傾げる嶺垣から視線を逸らし、絵夢は影宮の持つ薔薇を指差した。

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