プロローグ

「いや、僕の場合あんまりテレビとか見ないから。たまにニュース見たりするぐらいかな」


 困ったような表情を見せる絵夢。


 そんな彼の言葉に、嶺垣は半ば呆れたように息を漏らした。


「絵夢さん、本当に二十代ですか?」


「え? どういう意味?」


「友達とか少なくありません?」


「……多くはないよ。どうして急にそんな変なことを聞くのかが分からないんだけど」


「ニュースばかり見てるからですよ」


 肩を竦めながら告げて、嶺垣はソファーへ移動し座り込む。


 本来なら客のために用意してあるはずのソファーなのだが、悲しいことに肝心の客が滅多に来ないため、今や嶺垣専用ソファーになってしまっていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る