プロローグ
「相変わらず、眠そうですね」
そのデスクに座り雑誌を眺めている人物へ、嶺垣は話しかける。
にんまりと笑う嶺垣を、その人物は気だるげに見上げてきた。
「どうしたの? 今日はずいぶんと機嫌が良さそうに見えるけど」
「わかります?」
部屋にある小さな冷蔵庫からアイスコーヒーを取り出して、グラスに注ぐ。
「そりゃあね、その表情を見たら嫌でもわかるよ。ひょっとしてあれかな、ついに彼氏でもできたとか?」
「違います。何ですか、ついにって」
「あれ、彼氏欲しいとか言ってなかったっけ?」
「それは、まぁ……。いや、でもいいんですよ今そんなことは。実はですね、あたし良い物ゲットしたんです」
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