シベリアの異変(一)


前回、シベリア支部に到着した潤たち

それぞれ部屋に別れて潤は天照大御神様と通信して連続傷害事件の詳細を知った。

通信を終了して食堂へと向かった。


「うーん、何のために連続傷害事件を起こしたのかは分からんけどこっちもこっちで大変だな。」

悩みながら歩いて食堂の中に入る。


「やっと来たか。潤」

こっちに手を振るエレナたち

エレナたちが手を振っているテーブルに座る。


「ごめん、天照大御神様と通信していた。こっちの件もかなり気にしてたけど」


「ふーん、そうか フィローラディザード対策課長の報告書を見ていたんだがどうやらチェチェン地方で大規模な爆発が起こったそうだ。」


「大規模な爆発か… チェチェン分離独立派系の組織がディザードと戦闘してるかもしれんな。」


「なるほど ただ、ディザードを倒すのは普通の人間じゃかなり厳しいだろうけどな。」


「トパーズが介入してるはずだから大丈夫だろ。」


「そうか。それが終わったら現場視察しようかなと思うけど」


「クラスのみなさんは待たなくてもいいんですか?」


「危ないと思うから安全を確認してクラスメイトを現場に連れていこうかなと思ってる。それに嫌な予感がするからね。」


「一応、トパーズの部隊に警戒を強めるようにいっておく。それにアメリカや中国などがこの異変に関わってるとなると何かを仕掛けてくるはずだからな。」


「あぁ、多分仕掛けてくるだろうな。それにチェチェン分離独立派系の組織が動いている以上はシベリアの異変が終わることは無いだろうしな。」


「そうかもしれませんね。」

フィローラディザード対策課長が現れた。何かの資料を持っていた。

その資料をテーブルにおいて説明をし始めた。


「この資料はチェチェン分離独立派系の組織であるカフカーシアン・フロントとアメリカ、イギリス、フランス、ドイツなどの亡命政府から多額の資金援助と武器援助を今年の4月まで受けていたという資料になります。」


「なんだって? 今更、チェチェンを独立させるつもりなのか?」


「表向きはチェチェンにいる生存者の保護及び人道的物資援助となっていますが実際は武器が主になると思いますし、今のところチェチェン地方で生存者を確認出来ていません。」


「なるほど チェチェン分離独立派に援助行い、それを使ってディザードを攻撃させたことで一部のディザードが暴れた。」


「それによってアルファとベーターが巻き込まれ大暴れし結界にヒビがはいったという訳か。」


「辻褄が合いますね。どうされますか?」


「僕たちが介入することは計算のうちだと思う。ただ、魔法学園の生徒が来ることは計算外だろうし、生徒の中には未だに大きな力を持つ政治家や皇族、王族などの子息や親戚等がいるから手を出さないと思うが…」


「危ないことはさせられませんね。変なことに巻き込むと大変なことになりますしね。」


「一応、細心の注意をはらいながらやるしかないよな。」

潤はご飯を食べてそのまま自分の部屋に戻って行った。

それからしばらくしてクラスメイトと夏姫がシベリア支部に到着 しっかりと休憩をとった上で現場視察に赴くことになった。

潤と朱音、梓、フィローラの4名は先に現場視察をすることにしシベリア支部から結界が張られているウラル連邦管区クルガン州に向かっていく。

森を駆け抜けている潤たちは予定よりも早く森を抜けられた。


「それにしても先生たち結構早く着いたな。」


「そうですね。アイランドパトロール本部の人達はまだ到着していませんが大丈夫なんでしょうかね?」


「大丈夫だろ。かなりの部隊が投入されてるしアイランドパトロールの部隊を攻撃出来るほど亡命政府も力は無いはずだからな。多分、手続き的に時間がかかってるんだろうよ。」


「一応、シベリア支部の管轄地域なので本部の部隊とはいえ手続きをしてもらわないと入れないんですよね。」


「そのうち来るから安心しとけ。おっともうすぐ着くようだぞ。」

潤たちの目の前に現れたのはディザード対策用の要塞線だった。


「ここが要塞線ですか。凄いですね。」


「ええ、旧ロシア陸軍がディザードから都市を防衛するために建築されて今は結界の目印になってます。」


「それにこの要塞線には特殊な魔法がかけられてて結界が壊れてもこの要塞線が結界の代わりになるらしいがよく分からん。だから結界を管理しておかないといけないんだよ。」

要塞線の上から誰かが呼んでいる。


「おーい フィローラ来たのかー?」


「はーい トパーズ上級元帥 潤さんと朱音さん、梓さんの3人をお連れしました。」


「おう そうか。今下に行く。」


「分かりました。」

要塞線の上からトパーズが降りてきた。

まだ要塞線の周りは雪で覆われていたので落ちてもクッションになっていたようだ。


「危ないですよ。何やってるんですか?」


「いや、雪がクッションになるからいいかなーと」


「子供たちが真似して怪我したらどうするんですか!!」

フィローラにブチ切れられるトパーズであった。

それはさておき、現場視察を行うことにした。

要塞線の上に登り、上から要塞線の向こう側を見てみると何もいない草原が広がっていた。


「何もいませんね。」


「あぁ、逆に怖いな。何もいないはずがないのに」


「この辺りはかなり中型のディザードが闊歩してるはずなんだが… 私が来る前からこの様子だったみたいだ。」


「多分、アルファとベーターが現れたことで中小型のディザードはどこかに隠れているとみて間違いはないと思う。」


「これ間違いなくシベリアの異変ですね。」


「とりあえず、写真を撮っておこう。」

カメラを取り出して写真を撮った。


「一応、チェチェン分離独立派系の組織がいるかどうかも確認はしてるんだが今のところ見当たらなくてな。どうなってるんだろうか?」


「チェチェン分離独立派系の組織は陽動で別の目的があったが達成出来たか出来なかったためにどこかへと隠れさせてるんだろうよ。」


「とりあえず、安全は確認出来たし明日この結界を修復することにしよう。」


「そうですね。今のところディザードがいないので結界を破られる心配はありませんからね。」

潤たちは要塞線の上から降りて要塞線司令部へと入った。

次回、シベリアの異変(二)

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