シベリア支部(三)
前回、日本に到着し浅草観光をしてる際、エレナとラレリーナに出会い一緒にマギサズ統括本部へ向かうことした潤と朱音、梓の3人とエレナ、ラレリーナはマギサズ統括本部に到着し中に入っていった。
「ここがマギサズ統括本部 職員数は10万人程度でその内8万人は特別偵察師団 2万人は事務方っていう感じかな。」
「特別偵察師団はマギサズの保護をしてるんだよね。どういう感じに選ばれるわけ?」
「基本的にはアイランドパトロールと同じように入隊試験があってそれをクリアしたらまぁ訓練とかを行ってですぐに実戦っていう感じになる。例外としてはアイランドパトロールから出向っていう形で来る人や特別領府防衛駐在軍からの出向で来る人はいるけどほとんど入隊試験を受けた人だね。」
「へー そういう感じになってるわけか。」
「かなり職員数は多い方だと思いますよ。自治政府内務省と同等の職員数らしいですからね。」
「そうなの? 凄いね。潤」
「どうしてここの本部長になったの?」
「ん? あぁ、前任の本部長が推薦してきたんだよ。」
「推薦でここの本部長になったのは建前でしょ。本当の理由は?」
「バレていたか。本当の理由はここを廃止することを求める勢力がいてマギサズ排斥主義系の政治家が圧力をかけてきたから僕をここの本部長に推薦することで圧力をかけずらい状況に持ち込んだんだよ。」
「そんな奴らがいるとはな…」
「多国籍の極右系政治家が政党を作って特別領府議会議員になってるからね。ある程度予想された事だし、ここを守るのも人を守るのも変わらないさ。さて、そんな話をしてると到着したよ。本部長執務室に」
左手にある部屋に入った。
この部屋は本部長のお仕事をしたり、書類の管理、官僚との会談などを行う部屋として使われ、今は本部長不在のため使われていない部屋である。
「へー 立派な部屋だね。ここでお仕事してたの?」
「うん、ここで各局長クラスや部長クラスとの意見交換や他の省庁幹部とも良く会談したな。」
「この部屋以外には隣に本部官房長室 秘書課 総務局 軍務局などになります。」
「今は原軍務局長が本部長代理をしてくれてるからお礼を言わないとな。」
「何のために副本部長がいるんだか…」
「いやー えへへ」
「何照れてるんだよ。お前は 原くんにちゃんとお礼言うんだぞ。」
「はーい。では、原軍務局長がいる軍務局に行きましょうか。」
本部長執務室から軍務局に歩いて向かう最中に総務局に立ち寄った。
「山名秘書課課長いるかな?」
コンコンっとノックすると1人の女性が現れた。
「あれ…? 潤本部長 お帰りですか?」
「やぁ 山名秘書課課長 久しぶりだね。原軍務局長いるかな?」
「今いますよ。」
「あと井上保少将もいる? 会いたいんだが」
「井上保少将なら先程、シベリアへ向かいましたよ。」
「えっ!!? ホント?」
「ホントです。日本防衛駐在軍最高総司令官から命じられて向かわれたようです。」
「やはりあの人も気にしてるのか… とりあえず、原くんに会ってさっさとシベリア支部に向かわねばならないな。夏姫先生に連絡して予定を早めることを伝えてくれ。」
「了解です。学園側にも伝えておきますね。」
「あぁ、先に軍務局にいるから連絡を取り付け次第、シベリア支部に向かう。」
「はい!!」
隣の軍務局に行くと走ってくる職員がいた。
よく見ると原軍務局長だった。
「お久しぶりです。本部長と…そちらの女性は?」
「お久しぶりですね。原くん こちらの女性2人はアイランドパトロールシベリア支部のエレナ支部長とラレリーナ副支部長だよ。」
「なるほど 初めまして軍務局長を務めています。原と申します。」
「こちらこそ挨拶遅れてすまないな。シベリア支部の支部長を務めるエレナだ。」
「私は副支部長を務めているラレリーナ」
「それにしても本部長が日本に来てるなんて知らなかったですよ。でも、どうして日本にいるんですか?」
「あぁ、それはね。」
かくかくしかじか説明すると原軍務局長は高速船の手配をしてくれて早く言うように進めてくれた。
「早く行った方がいいんじゃないかなと思います。本部長と支部長、副支部長、副本部長2人の5人分を手配しておきました。」
「原くん ありがとう。一応、連絡はしたから大丈夫なはずだしひとまず先にシベリアの地へ行くぞ。」
「了解!!」
潤たちはマギサズ統括本部から出て高速船が出ている港に向かった。
港に着くと高速船がもう既にいてウラジオストクまで4時間ほどで行ってくれるとの事で乗り込み。かなり急いでウラジオストクの港に到着した。
潤と朱音、梓の3人は防寒具をホテルの荷物と一緒に置いていてしまっているため、肌寒い中でシベリアの地に降り立つことになった。
「今の時期ちょうど平均気温が13℃ぐらいまで暖かくなったからね。日本人には寒いかも」
「最低気温がマイナス12の時比べれば暖かいと思うけどシベリア支部がある所は冬になるとマイナス40℃がざらじゃないからな。」
「防寒具無くて大丈夫なんですかね?」
「多分、初夏だからそこまで寒くはならないと思う。シベリア支部があるノヴォシビルスクまではだいたい5時間40分ぐらいかかるけど…」
「トータル9時間40分はかかることになるね。」
「とりあえず、魔法で移動するか。|瞬間移動(テレポーション)」
この魔法は特定の場所に瞬間移動することが出来るが有効範囲が狭いため現地に行かないといけないという難点がある。
シベリア支部内に瞬間移動した潤たちはディザード対策課長のフィローラ准将から報告を受けた。
「おかえりなさいませ。支部長と副支部長」
「ただいま。早速だけど報告をしてくれるかな。」
「はい、トパーズ上級元帥からの報告によりますと今のところヒビは広がっておらず、ヨーロッパの異変も少し落ち着いていると見られるとの事です。」
「なるほど 急激な変化は無いか…」
「ひとまずは安心って言うところだろう。
ヒビは塞いでおくとしても一旦様子を見ることが必要だと思う。」
「そうだな。アルファやベータが結界近くに現れたら間違いなくディザードが大暴れするだろうし、テログループが動かないとも限らないしな。」
「あっ テログループについて保安課長から報告がありまして」
「なんだ?」
「はい、テログループに旧アメリカ陸軍の武器及び装備が流れている可能性があるとの事です。アメリカ亡命政府や中国亡命政府などが裏で糸を引いてると見られています。」
「やはり… テログループはどこの組織の者だった?」
「はい、チェチェン分離独立派系や東トルキスタン独立系の組織に所属していた者や傭兵、旧アメリカ陸軍の関係者などで構成されていると言うことまでは分かっていますがほとんどのテロリストたちは消されていて組織の事態把握は難しいかと思われます。」
「とりあえず、テロリストたちのこと後にしてヨーロッパの異変やアルファ、ベータなどのことから対応していこう。」
「潤の言う通りだな。一休みするか。」
エレナとラレリーナは支部長室から出ていき、それぞれに用意された部屋でゆっくりと休むことになった。
潤は天照大御神様と連絡を取り、事の次第をある程度説明し八名島で起きている連続傷害事件のことについて聞いた。
「あの件についてどれぐらい分かった?」
「あの件ならある程度は分かった。最初の事件はインフラ事業請け負っているサラフシ社の広報部に所属してる田中三葉さんっていう女性で後頭部を硬いもので殴られたみたい。」
「大丈夫なの?」
「大丈夫 命に別状はないけど全治1ヶ月の重症だけどね。」
「そうなのか。次の事件は?」
「次の事件はバス待ちをしていた学院の生徒が襲われたけど近くのアイランドパトロール学科の男子生徒が助けたみたいで怪我も無くて安心したよ。」
「良かった。」
「その事件があってから20分後に交易会社の社長フランシスコ・エッデールさんが襲われた際、SPとやり合ったため怪我を負ったと見られている。アイランドパトロールも現場近くにエッデールさんとは違う血液型の血痕が確認されている。」
「犯人は怪我を負ってるはずだから病院に行ってると思うが… 指名手配されてるから行っていないかあるいは指名手配される前に行っていたのか」
「うん、どちらも考えらるからアイランドパトロールは島にある病院から島外にある病院まで隅々調査してるけどなかなかしっぽを見せないんだよね。」
「とりあえず、そっちの調査は任せる。こっちはこっちで訳ありの予感がするんだよな。」
「分かった。じゃあまた」
天照大御神様との通信を切り、ご飯を食べに食堂に向かう。
次回、シベリアの異変(一)
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