シベリア支部(二)


前回、1年2組の生徒と学院の生徒はシベリア支部に向かうための大きな船に乗り込み日本を経由することにした。

そして、もうすぐ船は日本の横須賀港に到着する所まで来ていた。


「船長 もうすぐ日本ですね。」


「そうだな。日本で給油する2日間 子供たちが日本観光を楽しめると良いな。」


「そうっすね。俺たちも美味しいご飯食べましょう。」


「そうだな。日本のスシを食べてみたいもんだ。」

船の操舵をしている乗組員は和気あいあいと話しながら航路を確認していた。

近くにはタンカー船や漁業船がいるため航路が重ならないようにしないといけないので周りの船舶と信号を送受しながら進めていく。

横須賀港に無事に到着 生徒は順番ずつ下船することになった。


「ありがとうございました。」

お礼を言って降りていく生徒を笑顔で手を振り見送る乗組員たち

全生徒とアイランドパトロール隊員が下船し、

学院の生徒は潤たちとは別のバスに乗ってどこかへ向かっていった。


「学院の生徒はどこに行くのかな?」


「あの子たちは日本特別領府に見学するそうです。ちなみに特別領府は日本、オーストラリア、シベリア、アラスカ、インドの3カ国と地域に設置されています。」


「特別領府は自治・統治を行い、独自の立法や政策を行うところで地方公共団体と同じような扱いになってると思うよ。」


「そうなんだ。」


「まぁ、私たちが行くところとはあんまり関係ないですが、覚えておくと損は無いでしょう。」


「先生、ところで私たちはどこに向かっているんですか?」


「今から向かうところはホテルです。ホテルに行ってから浅草に行って観光をするという計画ですが時間の都合上、ゆっくりと観光出来るかは分かりませんが帰りに日本に寄ると思います。」


「分かりました。」


「それにしてもシベリア支部から連絡が来ないようですね。」


「あぁ、支部長と副支部長は不在でそしてディザード対策課長は臨時で支部長代理になって色々と忙しいみたいだから本部に連絡する暇さえ無いんだろう。」


「支部長と副支部長が不在なのはどうして?」


「そこまでは分からないけどあの二人ならここに来てるだろうと思ってる。」


「なるほど 本部長に会いに来たという事ですね。」


「うん、その通りだと思うけどどこにいるかは分からないな。あいつらの行動なんて理解不能だよ。」


「確かにそうだね。あの人達は私でも理解出来ないよ。」

それからまもなくバスはホテルに到着しホテルの部屋にそれぞれ荷物を置いて浅草に行くバスに乗った。


「浅草に行けば会えるかもしれないですね。

有名な観光地ですし」


「そうだな。すんなり会えるとは思えないけどな。」


「確かにそうですね。まぁ、会えることを信じましょう。」

一方、その頃のエレナたちは浅草で観光していた。


「それにしても私たち普通に観光してていいのか?」


「せっかく日本に来たんだし、それに井上少将もいなかったから帰れないしな。」


「それはそうだけど… それにしてもここは本当に綺麗な国だな。」


「そうだな。我々がいたロシアとは別物だが綺麗な国だ。だからこそ守らればならないのさこの楽園を壊させやしない。」


「あぁ 」

潤たちは浅草に到着し、有名な浅草寺へ向かうため歩いていると前から綺麗な外国人が歩いてきてすれ違った。


「あの人達誰だろう?モデルさんかな?」


「めちゃくちゃ綺麗だな。どこの国の人かな?」


「ん? どうした?」


「潤くん、前から綺麗な外国人の人が歩いてきたよ?」


「そこまで珍しいことではないと思うが誰だ?」

潤は女の子の間から首を出して見てみるとそれはエレナとラレリーナだった。


「あれ? もしかして?エレナじゃない?」


「おっ!! あれ潤じゃないか?」


「おーい 久しぶりだな。潤」


「ここで会うとは… 驚くわ。」


「えーっとこの外国人の方が支部長さんなの?」


「うん、そう。これがシベリア支部支部長のエレナ上級元帥と副支部長のラレリーナ大将だよ。」


「こんな所で何してたの?」


「あぁ、井上少将に会いに来たんだがここに居なくてな。どうすることも出来ないんだよ。」


「井上少将か。井上保日本防衛駐在軍対ディザード大隊司令官兼シベリア支部特別連絡官だね。」


「うん、どこにいるか知らない?」


「あの人ならマギサズ統括本部にいるはずだけど」


「マジで!! ねぇ、今から一緒に行かない?」


「別にいいけど… みんなは行く? それとも観光してる?」


「うーん」

しばらく悩んで先生と女の子は観光することになり潤とエレナ、ラレリーナ、朱音、梓の5

人はマギサズ統括本部に向かうことにした。

地下鉄の永田町駅行きに乗った。


「それにしてもあんなに女の子ばかりじゃ大変だろ?」


「まぁね。大変だけど慣れっこさ。特にあんたたちのせいだけどね。」


「そうだっけ? そんなに変なことしたかな?」


「そうだよ。勝手にお風呂に入ってくるしご飯はいちいちあーんしてくるし一緒に寝るとか言ってベッドに入ってくるし色々やってきたんだよな。覚えてないとは言わせないぞ。」


「いや オボエテナイナー アハハ」


「覚えるだろうが。まぁ、それはいいとしてシベリアの異変はどこまで広がってる?」


「あぁ、シベリア連邦管区近くまで広がってきてるそうだ。予想より早く広がってきていて対応を素早く決めないと極東連邦管区まで広がる可能性がある。最悪の場合、日本にも影響を及ぼしかねない。」


「なるほど 確かに日本に影響が来たら困るな。害のないディザードもアルファやベータの影響が及んでると考えるべきか…」


「そうだろうな。ディザード対策課からはフーロマの異常行動が見られるとの報告が入って来たから影響は及んでると思う。」


「結界のヒビからアルファとベータの気配が感じ取れるようになってそれがだんだん広がってると予想出来ますね。」


「あぁ、そう考えるのが妥当だな。ヒビを塞がないといけないよな。」


「とりあえず、シベリアに行かないとな。あの子たちも来るのか?」


「うん、全員行くよ。シベリア支部に」


「それは大変だな。支部から隊員を護衛として派遣させておかないとな。」


「大丈夫だと思う。本部の隊員も一緒に行動してるし、何部隊か護衛役として着いてくるらしいから。」


「そうなのね。じゃあ、安心か。」

永田町駅に到着し、マギサズ統括本部は駅から歩いて5分ほどの所にある。

主な業務としては孤児のマギサズや保護されたマギサズなどの教育・育成や特別偵察師団の管理などを行う。


「ここが統括本部? 大きいな。」


「複合型の省庁舎だからね。そりゃ大きいよ。」


「なるほど」


「じゃあ、中に入るか。」


「うん」

次回、シベリア支部(三)

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