シベリア支部(一)


前回、黒い真実を伝えられた夏姫と井上少将、佐々木首席研究員はそれぞれの場所に戻っていた。

先に学園長室から出た潤は自分の部屋でシベリアに行く準備をしてから急いで潤と朱音、梓はシベリア支部に向かうための準備を行うために1年2組のクラスメイト全員を校内放送で1年2組のクラスに呼び潤から説明を行うことにした。


ピンポンパンポーン

「1年2組のクラスの皆さんは至急クラスに集まってください。重要なお話があります。

繰り返します。1年2組のクラスの皆さんは至急クラスに集まってください。重要なお話があります。」

ピンポンパンポーン

校内放送でクラスメイト全員に呼びかけ、そんなに集まらないだろ思っていたが

潤と朱音、梓がクラスに着いた時にはクラスメイトが全員集合していた。


「いきなり呼んでどうしたの? 潤くん」


「これから説明することは真剣な話であり、学園長つまりおばあちゃんが決めたことでもあるから聞いてね。」


「分かったわ。じゃあ、どうしてクラスメイト全員を集めたの?」


「まず、それから説明することにしようかな。みんなに集まってもらったのはみんなでアイランドパトロールのシベリア支部へと向かうことになったからって言うこと」


「えっ…!? どういうことなの?」


「簡単に説明するとヨーロッパで異変が起きていて、それがシベリアにまで影響を及ぼしていることとヨーロッパから侵攻をしてくるディザードを防ぐ結界にヒビがはいってしまったことがシベリア支部から報告が来たんだ。それで本当は僕やアイランドパトロール本部の人達などと一緒に行く予定がおばあちゃんの提案でクラスメイト全員で行くことになった…」


「私達は本部長にお供します。ただ皆さんは正直… 一緒に行くことはおすすめしません… 何故なら危険なことが起こるかもしれないからです。ゆっくりと考えてください。」


「…」

しばらく無言が続きみんな悩んでいた。

そんな時だったクラス副委員長の一夏がこう言った。


「私は行くわよ。シベリアって寒いんだよな?少しだけ時間をちょうだい可愛いダウンを買わないといけないから。」


「えっと… つまり一緒に行ってくれるの?」


「私も行くよ。信頼してるよ? 危険なことがあったら潤くんが守ってくれるんでしょ?」


「悠里さん… 一夏さんありがとう。守るよ? 命がけで」

少し泣きそうな笑顔を見せた潤 それを見たクラスメイトたちは2人に続いて次々と一緒に行くことを決めた。

それと潤と一緒に旅行へ行くことで距離を縮められるかもしれないのとあわよくば恋愛に発展させたいという女の子側の思惑もあったのだ。


「みんなありがとう。この件については正式に理事会にて承認が得られたら行くことになるからそれまで時間あるけど楽しみにしててね。」


「うん、みんな楽しみにしてるね。じゃあ、私たちは寮に戻って行こう。」

クラスメイトはそれぞれ帰っていった。


「しかし、全員が来てくれるなんて思わなかったな。」


「シベリア支部って男湯なんてありましたっけ??」


「ん? そう言えば… 無い…」


「えっ!!? えーー!!!?」


「どうするんですか?… みんなで混浴になりますよ?」


「確かに… でも、男の隊員が配属され… るわけないか…」


「とりあえず、確認してきます。本部長は待ってて下さい。」


「うん」

朱音がクラス外に出ていった。実はまだ寮に帰っていないクラスメイトたちはこの話を聞いていてめちゃくちゃ顔が赤くなっていたのである。

朱音はシベリア支部に確認したが当然男湯なんて存在してるわけがなく混浴せざるおえないという状況になったのだった。


※ここからシベリア支部について軽く説明します。

ヨーロッパから侵攻をしてくるディザードから守る結界と結界の後ろにある要塞線を管理していてシベリア支部に所属する隊員全員が女性で男性隊員はおらず、アイランドパトロールの支部では一番大きい。

男性隊員がいない理由は一番安全であり一番危険な地域であるシベリアに数少ない男性隊員を配備するリスクが高いため

アイランドパトロールの隊員の内女性が約8割 男性が2割である。


本編に戻り、更屋敷ナデシコ魔法学園理事会によって正式に決定されたこの計画は速やかに行われ八名島からシベリアに向かうため大きな船が用意された。


「これが私達と潤くんが乗る船なの?」


「うん、そうだよ。この船は1回日本本土に寄ってからロシアのウラジオストクに行く予定。」


「私は日本本土に行ったことないから観光してみたいな。」


「多分、観光するんじゃない?」


「すると思うよ。まぁゆっくり観光するかは分からないけどね。」


「そうね。シベリアに行くのが目的だし、シベリア支部までも遠いんでしょ?」


「シベリア支部はかなり遠いと思いますよ。」

突然現れた女性が話しかけてきた。


「あのーどなたですか?」


「あっ 失礼致しました。私はアイランドパトロール本部広報局広報部所属の新井夕美中尉です。よろしくお願いします。」


「よろしくお願いします。なんでアイランドパトロール本部広報局の方が同伴されるんですか?」


「それはシベリア支部の見学ということで広報局が総力を上げてアイランドパトロール隊員を増やすため にひひひ」

怪しい顔で笑っている夕美を周りの生徒が訝しく見ていた。


「あの人は置いといて 船に乗ろうか。」

潤たちは船に乗り込み自分たちの部屋に入っていった。

夕美は他のアイランドパトロール隊員に声をかけられ潤たち1年2組の生徒がいないことに気づいて慌てて船に乗り込んだ。


「新井さん、早く乗り込んでください。もう出港しますよ。」


「あれ? 生徒さん達もう船に乗っちゃったんですか… ちょっと待ってくださいよー。」

夕美は慌てて船に乗り込み1年2組の生徒が集まるホールに向かった。

ホールではウラジオストクまでの航路と日本での観光予定などのスケジュール確認が行われており、学院から来た生徒も一緒に聞いていた。


「スケジュールとしてはこんな感じで予定では2~3週間ほどで日本とシベリア支部を周り八名島に戻るという感じになると思います。また、アイランドパトロール本部からは広報の方とディザード対策局の方も一緒に着いて来ていただけるので積極的に質問等をしてください。以上 先生からのお話は終わりです。」


「礼 ありがとうございました。」

ホールでの集合が終わり、生徒と教師は夕食のバイキングを楽しんでいた。

テレビでは八名島で起きていた連続傷害事件が報道されていて一同はそれを見ていた。


「次のニュースです。八名島中心部近郊で起きている連続傷害事件の注意を呼びかける声明が発表されました。内容は夜間の外出及び一人で夜道を歩かないようにすると共に怪しい人がいる場合、近づかず速やかに近くのアイランドパトロール支部に連絡するようにとのことです。」


「最近は色々と起こり過ぎてるね。」


「うん、そうね。幸いにも死者は出なかったけどいつ死者が出てもおかしくないからアイランドパトロールは警戒を強めてる事件の一つよ。アイランドパトロール隊員が2人以上で見回りをしてるけど犯人の目撃情報が少ないため、犯人逮捕にはまだ至っていないわ。」


「そうなんだね。この件は天照大御神様に調べてもらってと 日本までは約2日かかるからゆっくりしたいね。」


「そうだね。ゆっくりしたいよ。それにしても最近、アイランドパトロール本部に行ってないから行かないとね。」


「本部長は相変わらず騒がしい人だよ。」


「最初、会った時はお酒飲んでるかと思ったぐらいですからね。」


「アイランドパトロール本部の本部長って女性なんだよね?」


「うん、テンションが異常に高い人だけどね。でも、カリスマ的リーダーシップと采配の上手さは勝てないなと思う人だね。」


「潤くんにも勝てない人いるんだね。なんか安心したよ。」


「なんで?w でも、ありがとう。」

航海は順調に進み何事も無く日本本土の領海に入りあと1時間で横須賀港に到着する所まできた。

次回、シベリア支部(二)

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