実戦
基礎の授業と特別授業などが始まってから2ヶ月が経ち、いよいよ実戦に向けた授業が行われることになった潤たちのクラスは卒業してからアイランドパトロールに入るためには入隊試験をパスし、実戦訓練や整備訓練などを受けて各支部に配属される。
その中でも実戦訓練はかなり危険な訓練の一つで死傷者が出ることも珍しくない。
そのため、高校生から実戦に向けた授業を受けることが入隊試験を受ける資格の一つになっている。
「いよいよ、実戦に向けた授業を受けてもらいます。これは入隊試験を受けるために必要なもので私が受けた時にも必要だったもので結構、厳しいものになりますがこれは皆さんが怪我や死なないように受けるものなので真剣にやりましょう。」
「はい!!」
「どんな授業を受けるか説明します。
基本的には基礎体力の強化、魔法技術の向上、魔法装備の整備の仕方などをやってからディザードとの戦闘の仕方、ディザードの逆転、そして野外で小型のディザードとの戦闘をやってもらいます。」
「それは凄いね。小型でも種類によっては普通にヤラれる可能性もあるけど?」
「え!? そうなの?」
「はい、潤くんの言う通り小型でも種類によっては残念ながら亡くなる方もいる聞きます。ですが、やり方を覚えれば勝てるはずです。」
「うん、安全に配慮されてるはずだから大丈夫だよ。」
「楽しみだな。色々と」
潤たちが授業を受ける中、ヨーロッパで起こる異変が徐々にシベリアへと広がってきていた。
シベリア支部の支部長でシャルロッテアイランドパトロール本部長と同期でエレナ上級元帥と副支部長のラレリーナ大将の2人にもシベリアの地での異変とヨーロッパの異変などの報告が入っていたのである。
「エレナ支部長 シベリアの結界にヒビがはいったとの報告が入りました。」
「なんだと!! すぐにラレリーナとトパーズをここに呼べ。」
「はい!」
報告に来たフィローラディザード対策課長に向かわせた。
「あの結界にいよいよヒビがはいったか… 本部長のシャルロッテに情報を送っておかねば…」
しばらくしてフィローラディザード対策課長とラレリーナ、トパーズの3人が支部長室にやってきた。
「失礼します。エレナ支部長 おふたりを呼んできました。」
「ご苦労だったな。フィローラは引き続き警戒を怠るな。」
「ラジャー!!」
フィローラが出ていき、3人になった。
「で? 支部長はなんで呼んだのかな?」
「先程、結界にヒビがはいったとの報告が来た。」
「なんだと… 」
「あの結界は高度な結界魔法が何重に重ねられていてそう簡単には壊せないし傷もつけられないようになってるはず…」
「やはり、これもヨーロッパの異変による影響か?」
「恐らくな。トパーズ上級元帥はこれから現場に向かって欲しい。もし、今度異変が起きたらあの子に頼むしかあるまい。」
「分かったよ。ディザード対策用に建築された要塞線にいる部隊員と共に調査してくる。」
「頼んだぞ。ラレリーナは私ともに日本本土に向かうぞ。」
「あの子を呼びに行くのね。確か、八名島の学園に入学したらしいけど」
「先に日本本土に寄って井上少将に会わないと行けないんだよな。」
「なるほど 了解」
エレナとラレリーナが日本本土に向かう準備をしていた頃、潤たち1年2組の生徒は真面目に授業を受けていた。
「今日の授業はここまでになります。明日から早い夏休み期間となり、多くの生徒が寮での学習になります。期間としては明日、6月30日から8月30日の約2ヶ月ほど プール開きや体育祭などのイベントもこの期間にやりますので参加しましょう。」
「宿題は何と何が出ますか?」
「各担当教科の先生から宿題がPCに送られ、それをやり終わったら提出をしてください。各担当教科の先生から提出期限が提示されるので必ず確認しておいて下さい。また、アイランドパトロールからの注意を呼びかけるものも送られてくるはずなのでそれも確認しておいて下さい。では、楽しい夏休みを」
「起立 気をつけ 礼 ありがとうございました。」
「ありがとうございました。」
授業が終わり、一斉に自分たちの寮に戻っていく。
潤と朱音、梓の3人は担任の夏姫共に学園長室に向かって行った。
コンコンっとノックをしてから学園長室に入った4人はそこに女の人が2人居た。
「失礼します。3人を連れてきました。学園長」
「ご苦労だったね。明日から夏休み期間になるけどアイランドパトロール本部の人達があなたたちに会いたいとお越しになってね。」
「そうなんだね。そこにいるおふたりは?」
「失礼しました。私は、アイランドパトロール本部ディザード対策局首席対策官の井上早苗少将と言います。」
「私はアイランドパトロール本部ディザード研究局首席研究員をしてます佐々木清香です。よろしくお願いします。」
「よろしくね。んで? 僕たちを訪ねてきた理由は?」
「はい 昨日、シベリア支部から結界にヒビがはいったとの情報が送られてきました。ですが、詳細な情報は現地からも送られてきておらず分からない状況なのです。」
「なるほど 僕たちにも情報は来てないが2ヶ月前にシベリア支部からヨーロッパで異変を確認したことは聞いている。」
「やはり、ヨーロッパでの異変が大きくなりつつあるわけですか。」
「だろうね。多分、アルファとベータが現れたことで小中型のディザードが結界に近い地域へと逃げ込んだ際に攻撃をしようとしたアルファのキックが結界に接触してヒビがはいった可能性が高いと見るべきだろうね。」
「でも、アルファとベータはここ2ヶ月ほど活動していなかったはずでは?」
「うん、そこが問題なんだ。活動していなかったはずのアルファが動き始めた原因はなんなのかそもそも小中型のディザードがアルファやベータの気配を感じとれないはずがない。だとすれば小中型のディザードが結界に近い地域へと逃げてきた原因を探る必要がある。」
「ヨーロッパの異変を調査しないといけないかもしれない。」
「分かったわ。夏休み期間を利用して野外活動行うことを認めます。」
「分かりました。私が着いて潤くんと朱音さん、梓さんを連れていきます。」
「いえ、その3人と1年2組のクラスメイト全員を連れていきなさい。」
「え!?」
「えっ!!?」
その場にいる全員が驚きを隠せずにいた。
ここにいる人間はともかくクラスメイト全員となるなら格段に移動も物資の補給も大変になるからだ。
「それは無茶が過ぎやしませんか?」
「えぇ、それは分かっています。ですが、せっかくの夏休みです。学習の機会を与えるのが我々の仕事です。」
「ですが… 」
「何かあれば全責任は私が取ります。理事会に承認を取り付けておくので準備に取り掛かってください。お願いしますね。潤くんたちは先に戻っていってね。」
「はい…」
潤たちが出ていくと夏姫と井上少将、佐々木首席研究員の3名にあることを伝えた。
「アルファとベータについて話さねばならないことがあります。この件はアイランドパトロール本部のごく限られた幹部クラスしか知らないはずです。」
おばあちゃんが話した内容はかなりショッキングなものだった。
その話を聞いて旧アメリカの黒い真実が知らされることとなる。
次回、過去
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