入学式


入試を終えた潤は、新設されたという寮に向かう途中で、おばあちゃんと出会った。


「おばあちゃんー」

遠いところから大声を出しながら手を振る潤を見ておばあちゃんは走ってくる。


「廊下であんまり大声を出さないよ。入試合格おめでとう!!明日、入学式をやるから早めに寝とくのよ。」

奥からおばあちゃんを呼ぶ女性の声が聞こえた。


「理事長ー 入学式の件… あれ? 潤くん?」


「|四十崎夏姫(あいさきなつき)お姉ちゃん? なんでここにいるの?」


「それはこっちのセリフよ。なんで潤くんがいるの?」

(えーーー!? 超嬉しいんですけど!!てか、昔と変わってないこの感じマジ天使)


「えっ? 入試を受けて合格したからだよ?」


「そうなの? 理事長 ちゃんと言ってくれないと困るよ?」


「あはは サプライズにしたかったんだけどね。お互いバレちゃったし、明日から潤ちゃんの担任になる夏姫先生よ。」


「僕の担任になるの? 嬉しいなー」

満面の笑みで笑う潤に顔が赤くなってしまう夏姫の図である。


「そうそう 理事長、明日行われる入学式はかなり混乱すると思いますがどうしますか?」


「一応、入学式当日は、警備員を多く配備することとアイランドパトロールに応援要請をしてあるから大丈夫なはずだよ。」


「なるほど それなら大丈夫か…」


「なんで、入学式が混乱を生じるの?」

無邪気に質問してくるのでこう答えた。


「うーん、この学園は男の子が今までは居なかったから潤くんが入ってくること自体が異例なんだよね。それで結構、女子生徒のほとんどは男の子に耐性がない子が多いからね。」


「へー そうなんだ。じゃあ、僕は寮に行くね。また明日」

潤は手を振って寮へと向かう。それを見守りつつも仕事に戻っていく2人であった。

潤は寮に辿り着くとお風呂に入った後でそのまま寝てしまった。

翌朝を迎えて入学式に出るため制服に着替え、朝ご飯を食べたのでカバンに筆記用具やパソコン、水筒などを入れて体育館へと向かっていく。


「意外と朝の運動にはちょうどいい距離のところに体育館があるもんだな。それにしておばあちゃんたちまだかな?」

潤を迎えに来るというメールが届いていたからだ。

少し待っているとおばあちゃんたちが廊下を走ってこちらに向かって来ていた。


「おはよう。おばあちゃん」


「ごめんね。遅れちゃって ハァ…ハァ…」


「いいよ。早く行こう」


「えぇ ハァ…ハァ…」


「大丈夫?」


「大丈夫よ。急ぎましょ。」

おばあちゃんは急いで体育館に向かい、入学式を始めた。

僕はおばあちゃんに置いてかれたが1人で体育館に辿り着き、別の新入生たち違う入口に案内されるとアイランドパトロールの隊員がいてその人たちが固めている入口から入ることが伝えられた。

僕以外の他の新入生は、先に体育館へ入っていたようだ。


「入学式を始めます。起立してください。」


「気をつけ 礼 おはようございます。」


「おはようございます。」

全生徒が舞台の上にいるおばあちゃんに挨拶をした。


「楽な姿勢で聞いてください。新入生の皆さん、おはようございます。入学おめでとうございます。今回、入学してくれた生徒の数はえーっと約800万人が新たに入って来て驚いてます。全校生徒合わせると…なんと…なんと…!! 約8000万人となりました!!」

体育館にいる全生徒から拍手があがった。


「へー そんなにいるんだ。僕たちがいた日本本土でも1200万人の子供しかいなかったのにここは多いんだね。」


「それはそうですよ。ここの総人口6億人ですからね。おっと もうすぐですよ。」


「それでそこにいる新入生とは別にダントツで首席入学を果たした子がいます。では、どうぞ」

全生徒からの拍手で舞台上に行く更屋敷潤は少し照れながらおばあちゃんに近づいていく。

もちろん、男の子が来たことで体育館はザワザワし始めた。


「紹介します。私の孫であり男性唯一のマギサズである更屋敷潤くんです。」


「えーっと 初めまして更屋敷潤と言います。元々は日本本土に一人暮らしをしていたんですがおばあちゃんに呼ばれましてここの学園に入学することが決まりました。よろしくお願いします。」

初めて見る男の子に耐性が無い子たちは顔が真っ赤かになっていて、他の女の子もみるみるうちに赤くなっていった。


「そんなに顔が赤くなるんだね。」

満面の笑みで無邪気になっている潤を見てますます顔が赤くなってしまったので入学式はここで打ち止めとなった。

入学式が終わり、クラスへと向かう女の子の後をついて自分のクラスを探す潤に内心めちゃくちゃドキドキしている女の子たちと潤もドキドキしていた。

女の子たちがドキドキするのも無理はない。

八名学院にいる男の子よりも小柄ながらも筋肉質で端正な顔立ちをしており、イケメンだからだ。

やっとの思いでクラスについた。


「ここが僕のクラスか…どんな子がいるんだろうな。」

ウキウキワクワクの学園生活が今始まる。


次回、クラス紹介

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