プロローグ2


僕の名前は、更屋敷潤さらやしきじゅん日本本土で一人暮らしをしていたんだけど…おばあちゃんに八名島に来るよう言われて船に揺られながら向かっている最中だった。


「八名島か 懐かしいな…」

(何年ぶりに行くんだろうか…)


「潤くーん おーい」

目の前で手を振っているのは日本の最高神であり、太陽の神様でもある天照大御神様あまてらすおおみのかみである。


「おーい 潤くーん 見えてるかーい?」

僕以外の人にははっきりとした姿は見えないらしい…両親や妹でさえも、辛うじてうっすらと見える程度だと言う。

天照大御神様の話だと魔法量の違いと魔法の質量の違いから見えにくいんだとか


「むぅ 返事しないとつんつんするぞぉ」


「あっ ごめんね。ちょっと考え事していたんだ。」


「八名島のこと? それともおばあちゃんのこと?」


「両方かな? 僕のお母さんとお父さんが作った島って言う事で何年か前に来たんだけど記憶がほとんど無くて分からないんだ。」


「記憶制御の魔法がかけられてるのよ。あなたがこれ以上辛い思いをしないようにね。」


「そうなんだ。妹たちに会えるのも楽しみだな。」


「そうね。お兄ちゃんが八名島に来たらめちゃくちゃ驚くんじゃないかな?」


「それだといいね。さーて、もうそろそろ寝ようか?」


「うん、寝よう。」

部屋に戻った僕たちはそのまま朝まで寝てしまった。

翌日の朝には八名島に到着 僕たちはおばあちゃんが迎えに来るという海が一望出来るという公園に向かった。


「いい天気だね。日本本土のマギサズ統括本部は、ちゃんと動いてるかな?」


「心配し過ぎだよ。潤くんが居なくても副本部長らがいるし日本本土を含むこのエリアは完全な安全地帯だから大丈夫なはずだよ。」


「まぁね。僕が大臣を務める高度科学技術省のおかげだね。(誇らしげな顔)」


「自画自賛かよ! まぁ潤くんは世界全体で見ても限られた男性のマギサズだからね。おじいちゃんが大臣職を与えるのも無理は無いよ。」


「ところで今回のここに呼ばれた要件って何?」


「さぁー? 潤くんをここに連れてきて欲しいとしか言われてないし、もしかして…本島には女性しかいないからお嫁さん探しかもよ。うふふふ」


「マジか…まだ結婚には早くない?」


「冗談だよ。まぁ、おばあちゃん…」


「気づいた? さっきからこちらを見てる。多分、複数人」


「潤くん いつから気づいていたの?」


「港から気づいていたけど手を出しては来ないし、女子高生っぽいんだよね。」


「どうする? 蜃気楼を使って脅かしてみる?」


「それは可哀想だよ。まぁ、海を眺めている分には攻撃を仕掛けてくることも無いだろうしそれに多重魔法障壁は張ってあるから大丈夫。」


「それならいいけど 危なくなったら蜃気楼使わせてもらうわよ。」


「うん、いいよ。」

しばらく海を眺めていたが、未だに視線を感じるし、さっきよりも増えた気がした。

ただ、それほど強い感じには見えなかったので放っておくことに


「それにしてもおばあちゃん遅いね。」


「うん、遅いなー 仕事が忙しいのかそれともティーでも飲んでるかもね。」


「ホント マイペースな人だね。」


「まだ視線を感じるね。」


「うん、確かに そうだ この公園には八名島の街が見下ろせるところがあったはず、そこに行ってみよう。」

僕たちは高台に向かって歩き出した。尾行している女の子たちも後を追って歩き出す。


「確か、この階段を上に登ると高台と展望台がそれぞれあるはずだよ。」


「おぉー 楽しみ 昔とは風景が変わってるだろうし、学園や自治政府の施設も見えるよね。」


「見えると思うよ。」

僕たちは階段を駆け足で登り、高台に出てみるとそこに広がっていたのは光景は綺麗に整備された街と大きな湖だった。

正しく絶景と言われるものであったが、それと同時にこの世界にはもう絶景と呼ばれるものたちはごく限られた場所にしかないことを実感させられた。


「あの子たち絶対バテてるよな。」


「日頃から前線や任務に赴いていた潤くんには勝てないだろうし所詮は、ただの女の子たちだから…ただ異能の力に目覚めただけの…ね?」


「それは言えてると思うよ。たかだか異能の力に目覚めただけなのにこの島に入れられるのは可哀想だとは思うけど…子供たちを守るという意味では合ってるのかもしれないね。」


「そうだね。」

何故、君はそんな優しい笑顔を向けられるのだろうか? 君は台湾の悲劇の唯一生き残った子供たちの一人なのに…

30秒後に尾行していた女の子たちが到着し、尾行がバレていることに気がついた彼女たちはこう言った。


「そこのあなた この島は男性が入ってきては行けないところです。直ちに出ていきなさい。

再度、警告します。」


「そこのあなた この島は男性が入ってきては行けないところです。直ちに出ていきなさい。

出ていかない場合は力づくにでも排除行動に移りますよ。」


「へー そうなんだ。で? 君たちは何者?」

彼女たちの目の前に現れて驚かしてみた。


「キャーーーー」

悲鳴があがり、排除行動をとろうとしていたその時、おばあちゃんと秘書の人が現れた。


「何をしてるの? 潤ちゃん」


「いや、この子たちが尾行してくるから少し驚かしてみたんだけど排除行動に移っちゃったんだよね。」


「えっ!? なんでここに理事長先生がおられるのですか?」


「私の孫を迎えに来たんだよ。そこの男の子」


「えーーー!!?」


「驚かしてごめんね。僕は更屋敷潤って言います。一応、男子高校生です。」


「一応って…そうだったわね。 アイランドパトロールに所属していたね。」


「おばあちゃん、また忘れちゃったの? もう、しっかりしてよ。」


「えーっと 待ってください。この男の子は理事長先生のお孫さんでしかもアイランドパトロールに所属してるんですか?」


「概ね 合ってるよ。」


「その辺は全校集会の時に話すからあなたたちは風紀委員活動を引き続き行いなさい。」


「了解です。失礼しました。」

彼女たちは渋々帰っていった。


「で? 僕をここに呼んだ理由は?」


「そうだったわね。単刀直入に言うわよ。潤ちゃんを更屋敷ナデシコ魔法学園に入学させることにしたわよ。」


「なるほど…え?」


「って言うことは潤くん 女子だらけの学園に入れるわけ?」


「そういうことになりますね。」


「まぁ、いいよ。ここまでせっかく来たのに

何もしないで帰るよりは学園に入ろうと思うよ。」


「そう言うと思って制服も教科書も用意しておいたわよ。まぁ、あなたにとってはもう要らないものだとは思うけどね。」

いきなり、決まった学園への入学 おばあちゃんの目的とは そして、明かされる台湾の悲劇の真実とは…

次回、入試

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