売れっ子の声優ほどライブとかで泣かないよね。サバサバしてて好きだけど



「私、最初から分かってたんだよ。倫也くんは英梨々を選ぶって。当然だよね? 嫌い合ってるって言いながらお互いがお互いを見守ってて。大切にしていて」


なのに、なのに。……こんなのって……違うんじゃないかなぁ。


電話の向こうからはまったくフラットじゃない泣き声が聞こえてきた



チキンな英梨々


突然パソコンにskypeのコールが来た。発信は英梨々。

まっ、この時間に俺も起きているのを確信してんだろうがな。

「ねぇ倫也今時間ある?」

酷く不安げな声に、今まさに寝るか寝落ちるかの頭がアラートを鳴らしている。

こんな英梨々は放っとけない。

「どうした? Webカメラ見えてないけど、故障?」

「ち、違うの……。なんかボサボサで顔むくんでるから見られたくないの……って察しなさいよ!」

「英梨々にもそんな女の子のような悩みがあるとは思わんかった」

口論になりかけ……。

まぁ予想通り、加藤恵の話になるわけで……。

「んでも俺にできることなんて少ないぞ」

 加藤怒ると怖いからなぁ……あのキービジュのせいだとは、言えない

「それでも! 恵と仲直りしたいの。な!の!に! 最初はLINE、既読つかないなぁって心折れちゃって。メール読んでくれているから分からないし全然恵から反応ないの……」

「なんで直接謝らないんだ? 少なくとも俺はしたぞ」

 そうしたら恵の立ち位置どうなるか分からないの?」

「学校がダメならいつもの喫茶店に呼べばいいじゃん」

「それでダメだったなら人間不信になるレベル」

[確かに」


 そんなめんど……複雑な女の友情をぶこわ……さないで解決する方法ねぇ……


そんなことを解決してくれる女神を呼んだ……やつがいた。


俺にとっての女神霞ヶ丘詩羽。

簡単に作ったスープカレー(温めるだけ)を食べて一言。

「なんでヲタクに、いやヲタクだからこそできない女の友情関係の修復なんてできないことしているの? 自分の作品は? ネタ出しは? オチまで計算してる?」

 鋭い目つきで久しぶりに俺に駄目だししてくれた。

「どっちにも非はあると思ったし、なにより仲良くしていて欲しかったし……」

詩羽先輩「それは私の質問に対する答えになってないことぐらい倫理くんでもわかってるでしょ」

倫也「………………」

詩羽先輩「小学生の時に『たいせつなえりりとつながっていられるばしょをつくるんだ』そこでしょ? 落としどころは。」

なんで作家という人は人のことをここまで細かく見て分析してぶつけてくるんだろぅか

詩羽先輩「結局澤村さんと一緒になりたいんでしょ?」

倫也「多方面に誤解を招く言い方しないで……」


詩羽先輩は家に帰るまで「書きなさい」をくり返した。

「私のファンで濃いヲタクでハッピーエンドが大好きなあなたならできるわ」

そこでくすりと笑い

「あなたは Taki Utako でしょ?」

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