第10話 GWの予定

<4.10 訂正しました> 




 朝なのに今日はいつもより目が覚めている。

 ・・・まぁ、朝からあんな刺激的だったらこうなるわな。


「そーいえばまーくん、もうすぐゴールデンウィークだね」

「ああ、そうだな」

「・・・何か予定ってある?」

「今のところ特には無いけど・・・」

「それじゃあ今年もどんたく見に行こうね」

「え〜、あんまり見たいと思わないんだけどなぁ」

「楽しいじゃん! 今年はどんな花自動車があるかな?」


 夏音はお祭りごとが大好きだ。

 ちなみにどんたくとは福岡で行われるお祭りのことで、毎年5月3,4日に行われる。

 夏音が言ってる花自動車というのは、毎年どんたくの期間に街中を走る、アニメやおとぎ話のテーマで装飾されたトラックのことだ。

 まぁ実際見てみたら多少は興奮するが、わざわざ見たいと思うようなものではない。

 毎年行ってて飽きないのだろうか? 本当に物好きなやつだ。


「まぁ、考えとくよ」

「やったぁ」


 夏音はぴょんぴょん跳ねている。子供みたいで可愛いな、それ。

 そんなに楽しみにしてるのかよ。

 ・・・俺も少し楽しみになってきた。


 ◇


 学校についたので靴を履き替える。

 途中まで夏音と一緒に廊下を歩いていると、教室からポニーテールの女子が、待ってましたと言わんばかりに夏音のもとへ飛び込んでいく。


「わぁ、ゆ、結ちゃん?」

「かのちゃんおはよ〜」

「う、うん。 おはよ〜」

「かのちゃん、一緒にどんたくいかん?」


 この博多弁の少女は木南きなみ 結花ゆいかだ。

 いつもこんなふうに騒がしいやつで、夏音とはよく気が合う。


「どんたく? ごめんね、私、まーくんと行く約束してるんだ・・・・・・」

「え〜、榊君と? じゃあ大丈夫やね」


 ん?


「かのちゃん、一緒に行こ?」

 おい、ちょっと待て・・・!


「え? でも私はまーくんと・・・」

「いいじゃん、私と行こーよ」


 こいつ無茶苦茶なやつだな。


「結ちゃん、誘ってくれるのは嬉しいんだけど、私はまーくんと行きたいんだ」


 突然、夏音がそんなことを言ってくれたので、俺は少しドキッとした。

 こういうことを言ってくれるのだから、多少は脈ありなのだろうか?


「え〜、じゃあ仕方ないか・・・」


 木南は諦めて帰ろうとした。

 なんだか少し寂しそうな顔をしている。

 それに気づいたのか、夏音が木南を呼び止めた。


「まーくんが良ければ、三人で行く?」


「まぁ、俺は別に構わないけど」


「え? いいの? やったぁ」


 まぁ、本当は二人で行きたかったけどな・・・


 そんなことを思いつつ、なんだかんだ面白そうだと思っていた俺は、後ろから接近する影に気づかなかった。


「な〜、俺も混ぜてくんね?」


 後ろから声をかけてきたそいつは、馴れ馴れしく俺に肩を組んでくる。


「おい、しゅう。離れろ、鬱陶うっとうしい」

「え〜、いいじゃん俺と真人の仲だろ?」

「はぁ〜、お前のその面倒くさいところ、変わらないな・・・・・・」

「そんなに褒めなくてもいいぞ〜」

「いや、褒めてないんだが・・・」


 こいつは斎藤さいとう 秀介しゅうすけ

 身長は俺よりも高く、180cm程ある、バスケ部だ。 こいつとは中学の頃、バスケ部で一緒だった。 それに中学の頃同じクラスになった時、出席番号が前後だったので仲はいい。


「なぁ、真人〜、入部する気になったか?」

「俺はやらないって言ってだろ」

「なんでだよ〜、俺とお前で組んだら最強だろ〜?」

「お前知らないのか? ここのバスケ部、評判悪いんだぞ」

「2年の江口先輩だろ? それなら知ってるよ〜」

「じゃあなんで入ろうとするんだよ。 何度も問題を起こしてるって噂だぞ?」

「噂は噂だろ? それに俺は喧嘩売られても負けねぇし?」

「それは、そうかも知れないけど・・・・・・」


 そう、こいつはめちゃくちゃ強い。 日頃はボケっとしてるのでよくなめられるが、こいつに喧嘩を売って勝てたやつを見たことがない。何でも小学校のときに極真会という道場に通っていたらしい。 なんかかっこいい名前だよな。


「まぁ俺はとにかく入るつもりはない、それに勉強についていけるか心配だしな・・・」


 ここ、福岡県立城ケ丘しろがおか高校は、県内TOP3の学力の高校だ。

 正直、俺が受かったのは嘘ではないのか?と思ってしまうほど、俺の学力からするとレベルが高い学校なのだが、栄進館えいしんかんという塾の対策クラスを受講したら、入試本番で出てきた問題が信じられないほど見たことがある問題ばかりだった。 正直あの塾には感謝してもしきれない。でもずっとあの塾に頼ることはできない。 なにせ受講料がものすごく高いのだ・・・・・・


 中学のときも親に相当苦しい思いをさせてしまった。 母さんが働き出したのも俺が塾に行きだしたのがきっかけだ。 親にこれ以上負担をさせるわけにはいかない。 だから俺は部活はせず、勉強に専念することにしたのだ。


 ・・・・・・というのは理由の半分で、もう半分はバスケに飽きてしまったからだ。


 俺は飽きっぽい性格で、小学校の頃はサッカー、野球、テニス、剣道など色々やってみたが結局すぐに飽きてしまった。 バスケは飽きるのに他の競技より時間がかかっただけなのだろう。 だからしばらくボールにすら触れていないので、どっちにしろ今の俺が入ったところで足手まといにしかならないだろう。 中学のときから試合を見に来て応援してくれてた母さんや夏音には申し訳ないが・・・・・・


「まぁ、その話は一旦おいといて、俺も行ってもいい〜? どんたく見に行くってやつ」


 正直、夏音と二人でいるところを見られただけでも相当騒がれるだろうが、そこにさらに一人夏音ほどとは言わないまでも、校内でもそこそこ人気のある木南が一緒だと流石に気まずい。 秀介の申し出は素直に嬉しいのだが、問題は二人がそれを受け入れるかなんだが・・・


「俺は別にいいんだけど、二人は大丈夫か?」


「私は別にいいと思うよ〜」

「そうだね、私も人数が多いほうが楽しいと思うし・・・」

 そう言う夏音は少し寂しげな表情を浮かべたが、すぐにいつもの元気な表情に戻った。

 

「マジ? サンキュ〜! 俺、楽しみにしてるわ〜」

 秀は嬉しそうにA組に帰っていった。


 ♪キーンコーン、カーンコーン


「あ、予鈴だよ。 急がないと。 じゃあまたね」

「おう(うん)」


 予鈴が鳴ったので夏音はC組、俺と木南はB組に入っていく。


 今年のゴールデンウィークはいつもよりも楽しそうだ。 そんなことを考えながら自分の席についた。




<あとがき>

 久しぶりの投稿ですので文が変かも知れません。

 誤字脱字等、報告よろしくお願いします。

 投稿の方は無理せず頑張ろうと思っていますので、少し投稿頻度は落ちるかも知れませんが、ご了承ください。

 

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幼馴染とのラブコメを書いていたら幼馴染にバレました!? 月島 大雅@休稿中 @tsukishimataiga

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