番外編 ゴリラプレイヤーの検証プレイ生放送
何か悪夢を見た気がする。
誰かに殺されたような悪夢だ。
目が覚めた後もその気分の悪さは変わらず、何かしらの失敗をしてしまう。
このままでは誰かに八つ当たりしてしまう。
そういう自分が嫌になり――――だからいつものように、機材の電源を入れるのだ。
「おら、特殊検証、夕青プレイスタートするぞ!」
『待ってましたー!』
『今日はソフト何本買ったんだ?』
『ゴリラ―! ドラミングしてくれー!』
『いつもの悲鳴期待してるぞ!』
生放送が始まると同時に書かれていくコメント。
いくつかは煽るようなものであり、まあ俺の生放送では挨拶のようなものだから気にはしない。
そうして、夕青を起動させていく。
「えー今回のアンケートにてDMで明るさを限界まで上げた状態でやってほしいとの事。前に俺が夕青2で目玉に突っ込んだ時ソフトがぶっ壊れて続き出来なくなっただろ? それのタイトル画面で妖精の顔が浮かんだらしいぜ。だから今日はその検証だ!」
『何それこわい』
『えっ、妖精の顔なんて浮かんでたのか!?』
『あの時のゴリラのドラミングは草しか生えなかった』
『新たな伝説が出来ること期待してるぜゴリラ!』
「とりあえず今日は検証ということなんで、新しく夕青ソフトを10本用意した。まあRTAでも何でもねーんだ。この程度軽いな!」
『10本が軽い……!?』
『なお一つにつき五千円ぐらいはかかる。こいつ新品買ってるから……』
『お、おうそうだな!(錯乱)』
『お前どんだけバイトしたんだ? また金欠か?』
『どうやらゴリラは計算もできないらしい』
「計算できないっつったてめえbanするぞゴラァ!」
『ゴリラがドラミングってるぞ。謝れよ』
『出た、ドラミングってる(動詞)』
『すいませんでしたー!』
「さてじゃあゲームプレイスタートだ。っと……明るさは調整してオープニングスタートってか――――クソ真っっっ白じゃねえか!!!!!!???」
『草』
『映像トラブルかな?』
『ゴリラってば牛乳でも零したのかよ。白過ぎて見えねえよ』
『草しか生えねえ(草)』
「えーさっさとプレイに映りたいんでいくつか飛ばすぞ! ……おいおい。真っ白過ぎて何が起きてるのか分からねえ。ここ何処だ。教室か?」
『大草原不可避』
『音は聞こえるのに真っ白過ぎる(草)』
『映像が迷子』
『とりあえず暗くなるまでは明るさ調整してやらねーか? このままじゃ始まらないぞ?』
「途中で明るさ変えるとか男じゃねえ。俺はこのままでいく! ってあああああ!! なんかイベント発生したのに見えねえ!!」
『男らしいこと言ってるのになんかやらかしてる』
『無理するなゴリラ―!!!』
『何のイベントだよwwwもしかして春臣と会話するアレか?www』
「だあああくっそ! 前言撤回! とっとと明るさ戻して先進むぞ!!」
『どうやら我慢が出来ないゴリラがいるらしい』
『前言撤回早すぎだろゴリラwww』
『明るさ戻した……ッ!?』
『マジかよwwwww』
『!?』
「な……し、死んでるだと……はぁ!? 交通事故エンド……信号無視で死ぬなんてあるのかよ!!? おいなんでだよ鏡夜あああああああ!! お前こんなところで死んでんじゃねーよ!!!!!」
『草』
『ゴリラのドラミングきたあああwwww』
『草』
『こんな死亡あるんですねwwwそういえばゲームでたまに車通ってたわwwww』
『いやいや鏡夜の家から学校までの間で車通るのってほぼゼロに近いだろ? ……それで信号無視して、激突? どんな確立だよゴリラェ』
『また伝説を打ち立てるのか、ゴリラの腕力でwwww』
「リトライすっぞゴルァ!!!」
『よしもう一回明るさ限界まで上げてやろう!』
『もうあれだわ。何か起きるまで目隠しでやってもいいんじゃね?』
『コメントが鬼畜過ぎwwwww』
ある意味、これは一種のストレス発散。
俺にとってはそれだけだ。
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