夕青白ゲームの掲示板2






【夕青白】新作出たからクリア目指せ!!




・・・



・・






960 ホラゲー探索名無しさん

だからバグってるのって絶対におかしいって!!




普通に考えて新ルートしかありえねえだろ!!?




961 ホラゲー探索名無しさん

俺たちの見つけていない夕青の新ルートの可能性が……!?




いやでも釣りの可能性が高いというか……




962 ホラゲー探索名無しさん

何かやらかしたのか!?



そうじゃなけりゃあ俺は信じねえぞ!!





963 バグ

いやでも本当なのですが……




964 ホラゲー探索名無しさん

中古で買ったんだろ? その以前の人が何かチート行為でもやらかして妖精に怒られてゲームできなくなって、それで売り飛ばしてお前のところに来たらどうだ?



つまりチート行為で出来なくなったソフトを別のゲーム本体で起動したら何かが起きる可能性が……!



965 ホラゲー探索名無しさん

ねーよそんなの。




というか妖精に怒られてもデータ消せば一応復帰はできるし……。ちゃんとチート行為しないで元に戻したら大丈夫だし……。




966 ホラゲー探索名無しさん

ごめん寝てて今気づいたんだけど……。



秋音と鏡夜ちゃんデートすることになったって部分は読んだ。

それ以外に何か起きたか?



967 ホラゲー探索名無しさん

>>966 突然のホラー要素あって今は暗闇の中をさまよっている感じ




968 ホラゲー探索名無しさん

>>966 デートしていたはずの秋音の顔が急にバグって真っ黒になって潰れた瞬間、女の甲高い悲鳴が聞こえたらしい。そのあとは普通に視界全部が真っ暗になって動けない状態。


データ消しても何しても真っ暗のままだから、バグのやつは普通にそのまま放置してる。何か起きるかもってみんなで待機中だ。




969 ホラゲー探索名無しさん

秋音の顔が真っ黒で悲鳴とかなにそれホラーかよ……。




970 ホラゲー探索名無しさん

残念これはホラーゲームです!!!!




971 ホラゲー探索名無しさん

なあそろそろ1000行くぞ。次のスレ立てた方がよくねえか?




972 ホラゲー探索名無しさん

バグの専用スレでも立てるか……



もしもこのバグが本物で、新ルート確定したんだったらバグが何をやったのか全員で検証する必要があるから事細かく夕青でのプレイ記録を晒せ




973 バグ

あっ




974 ホラゲー探索名無しさん

どうした?



何か進展でもあったか?






・・・




・・








 真っ暗な画面から、突然キーボード表記が出てきた。

 ひらがなで打てるようになっているらしい。しかし何を打てと言うのだろうか。



 よくわからずに首を傾けていると、キャラクターとの会話パートでよく見かける表記が出てきた。



《これから何をしたい?》



 それはキャラクターの声がない、ただの会話だけのもの。

 無音で、不気味な暗闇でしかない空間に浮かび上がるものにごくりと唾を呑み込んだ。



 しかもキーボード表記も消えておらず、選択肢がない状態で何がしたいと言われてしまっては答えるしかないのかと困惑した。



 何をしたいと言われたから、私はただ「クリアしたいけど、君は何がしたいの?」とだけ書いた。

 こんな意味のない会話に――――ゲームシステムが対応できるかどうかと疑念に感じていた時だった。



《深淵をのぞく時、深淵もまたこちらをのぞいているのだ》



 その台詞が現れた後、急に大量の文字が流れていく。

 英語で書かれているもの。日本語、イタリア語、ロシア語……それ以外にもいろいろと。たぶん全ての言語が表記されては消えているのだろう。


 壊れたのだろうか。

 読めない文字が一気に進んで――――これは記録した方が良いかと慌てていた時だった。



 妖精の可愛らしい顔がドアップで映り込んだ。


 それに驚いて仰け反ると、彼女はまるでこちらを見ているかのようにとても楽しそうに笑って……。




《人生にクリアなんてもの、あると思いますかー?》




 妖精の可愛らしい声は聞こえない。

 ただそのセリフだけが消えずに残り、妖精はキーボード表記の方を指さす。まるで早く書いてくれと言わんばかりに。


 なんだかゾッとする状況だ。思わず背後を確認して何かがいないか見てしまうぐらいには。

 でもこれはゲームで、私が電源ボタンの一つを押せばすぐに消えてしまうもの。リセットなんてすればもう二度と見ることはできない……かもしれないもの。



 スレに書かれていた新ルートの可能性を思い出す。

 もしかしたら私は、何かとんでもないパンドラの箱を開けてしまったのかもしれないというかのような感情で、未知の領域へ足を一歩踏み出した。


 キーボードを操作して、「人生はゲームと同じじゃないよ」と書く。私がクリアしたいのはゲームなのだから。


 すると妖精はとても不機嫌な表情になった。頬を膨らませて、パタパタと羽を動かして。そうして星の形をしたステッキを指で弄りながらも台詞を表記させてきた。




《常識に縛られるのって楽しいですか? 全部開放してみたくないですか?》




 何を言っているんだろうかと、首を傾けた。






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